人間・演劇・からだとことばのレッスン(竹内敏晴)・野口体操(野口三千三)の研究と実践、ワークショップの開催、草野心平・宮澤賢治作品朗読劇制作・身体・声・心・言葉・朗読・身体表現

【知恵】+【9】 『お尻の妙なる響き』 (野口体操→「尻たたき」)

 【知恵】

お尻を敲(う)ったあと、投げ出された足・脚・肢の動きの勝手気儘なこと。投げやりとも云う。
足・脚・肢の力が抜けているので、脚先は落ちた勢いで跳ね上がる。脚の向くまま、脚任せである。


現代人は、手先と頭の知恵を偏重し過ぎて、からだとこころのバランスを崩していると私は考えている。

からだの知恵、特に足腰の賢さを犠牲にしてしまったために足元が覚束ない。そのためいつも不安が治まらない。なんとかして安定を得ようと、頭の知恵で「余計なもの」を次からつぎへと作りだしてその場しのぎをしている。肝腎の「足が地に着かない不安感(心)」を省みることは無い。このままだと人間自体が「余計なもの」になりそうな勢いだ。

足腰に知恵があるか?と云われそうだが、歩く知恵、立つ知恵、子供を産む知恵、食べ物を消化吸収排泄する知恵、etc、etc。いくら知脳が大切だからといって、脳みそが歩くわけではない、子を産むわけもない。頭の知恵や手先の知恵も含めて、からだ全体の知恵が対等に関わりながら協力し、安定を保っていくこと、それが本来の人間の在り方ではないだろうか?

では足腰の知恵を育てるには、どうしたらよいか?多くの人は、筋トレを思い浮かべるだろう。スポーツやウォーキング、ヨガなど、筋肉を鍛えることが必要と思うのではないだろうか。筋トレ・脳トレと鍛えることが流行っているが、私は基本的に、筋肉を鍛えることには反対である。私はからだの感覚(感受性)を育てることを大切にしている。

足腰にも足腰ならではの言い分がある。その声に耳をかたむけることなく、我武者羅に筋肉を鍛えたり柔軟運動を無理強いすれば、足腰の知恵は黙殺される。逆に、足腰ならではの言い分を受け入れさえすれば、足腰は状況に応じて自身の知恵を発揮して、的確な感覚と筋肉を発達させる。

私は筋肉を鍛えることはしないで、こんな動きを丁寧に繰り返す。

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これは筋トレの逆、云わば「脱力系」の運動である。
手先と頭の知恵を偏重するということは、胸から上とその前面に感覚(知覚)が集まってしまい、それ以外のからだの感覚が無視され、その言い分が注意(意識)の圏外へ置かれてしまうことである。また足腰が力んで緊張すれば、感覚(感受性)は働かなくなる。鍛えるという考えや緊張努力を捨てることを大事に、この動きをやってみる。足腰の動きの様々な変化にまかせて、からだ全体の緊張をゆるめる。

この動きが気持ちよく出来るようになってくると、脚全体の、地面の変化への感受性が豊かになる。歩くときに踏み出す一歩一歩が、それぞれに瑞々しい新たな一歩となる。歩くことが心地良くなり、余計なものの何も無い、歩くこと自体の安心感と満足感が得られるようになる。

満足を足を満たすと読むと面白いかもしれない。からだの知恵に足を満たして心安らぐ動きだ。『脱力系ゆるみけーしょんトレーニング』なんて云う呼称も好いかも。


【野口体操動画】
★一巡目もくじ★
【1】 ユラユラ ユルユル フワァー (野口体操→「ぶら下がり」) 【2】 正体を失う! (野口体操→「ぶら下がり」) 【3】 動きの中には『ゆるみ』があり『ゆるみ』が動きを生み出す 【4】 『ゆるみ』崩れ 流れ 動く (野口体操→「背中の百面相」) 【5】 からだバンジー (野口体操→「腕立てバウンド」) 【6】 一点逆立ち (野口体操→「ヨガの逆立ち」) 【7】 『四股の動き』(野口体操→「四股」) 【8】 『前突き!~☆』 (野口体操→「?」) 【9】 『お尻の妙なる響き』 (野口体操→「尻たたき」) 【10】 『膝で胸を打つ』 (野口体操→「むね打ち」) 【11】 『ゆ』のうごき(野口体操→「おへそのまたたき」)
★二巡目もくじ★
【1】+「肩凝り」  【2】+「骨」  【3】+「呼吸」  【4】+「自由自在」  【5】+「緊張と弛緩」  【6】+「理想・目標」  【7】+「不安・不安定・安心」  【8】+「姿勢・表現」  【9】+「知恵」  【10】+「満点」  【11】+「歪み」  【まとめ】+「これから」


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2011-12-19 : 野口体操 : コメント : 0 : トラックバック : 0
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プロフィール

瀬戸嶋 充

Author:瀬戸嶋 充
声の産婆師。身体表現・身体コミュニケーション指導者。演出演技指導者。
1981年 竹内敏晴氏・野口三千三氏に師事。1984年 竹内演劇研究所レッスンスタッフ。1988年 人間と演劇研究所設立、からだとことばのレッスン・野口体操・演劇教室を指導。
その他、教育・医療・福祉・公民館等の現場に於いて、身体ワークショップや舞台上演を多数開催。
現在は、「身体・声・言葉」について、演劇の範疇をこえて、レッスンの場を広げている。
草野心平・宮澤賢治の詩と物語を愛す。

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